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2006年11月15日 (水)

一人店主への道(花の下北沢編6)

 「暖かい季節になると、自然とお客様も増えるから。」

先輩方から、厳しい冬の時期に何度も言い聞かされた言葉通り、季節の移ろいと共に、下北沢店も忙しさを徐々に取り戻しつつあった。

私に受付業務のイロハを教えて下さった先輩も出産のためにサロンを去り、その頃には、あんなに嫌がっていた受付業務も自然と楽しんでこなせるようになっていた。もちろん相変わらず、受付業務よりも施術する方が好きではあったけれど。まぁ、不思議なモンである。

 

 「受付スタッフになるメリットは、何一つない」と頑なに思っていた私だけれど、受付に立つコトで、施術するよりも多くのお客様と触れ合うコトが出来るのは、とても楽しかったし、お客様の好きなコースやお疲れ具合を知れるので、自分が施術する側になったときに、とても参考になった。

それに、お客様にいかにわかりやすく、コースや施術のご案内が出来るかというのも、こうして一人店主となった今では、本当に役に立っている。

 

 先輩から「何でも出来た方がいいよ。その方が絶対に自分のためになる。」と諭されたコトが、今やっと身に染みて感じるのだ。

 

 “楽しめる”というコトは、それだけ自分に余裕が出来た、というコトでもある。

サロン内での業務も一通り把握し、接客も慣れてきた。相変わらず、積極的にコースのご延長のお声掛けもしていたし、受付でも、売上目標達成のために出来る工夫はそれなりにやってみた。そして目標が達成されると、やっぱり嬉しく思った。

そうやって、楽しめるくらいの余裕が出来て、周りを冷静に見るコトが出来るようになった私に、ふと、ある思いが芽生えた。

 

 「なんだか、営業マンみたいだな・・・。」

 

 どれだけご延長を取れたか、ご指名が取れたか、物販を販売出来たかをスタッフ同士で競い合い、目標達成するコトに一喜一憂する。ノルマ等は一切なかったのだけど、スタッフのやる気と向上心をアップさせるために、皆で結果を競い合った。

 

 「なんか・・・、営業マンみたい・・・。」

 

 でも、コレは大手サロンで働く身としては、決して間違いではない。むしろ、正解であると思う。企業が大きければ大きい程、利益を上げていかなければならないから、そのために出来るコトをやっていかなければならない。

だから、会社のやり方がどうとか、そういう問題ではなく、コレは、会社の進むべく方向と私の進んで行きたい方向が異なっている、ただそれだけのコトなのだ。

 

 方向性の違いは、最初から薄々感じてはいた。だから、その会社で上に上がっていこうとは考えていなかった訳だし。余裕が出来たコトで、その違いをはっきりと認識するコトが出来たのである。

 

 方向性の違いはそれだけでなかった。接客スタイルに関しても、異なっていた。

 

 サロンでは、より多くのお客様を無駄なく回転させていくコトを第一に考えた。だから、忙しいときは、どうしても慌しい感じで接客するようになってしまう。もちろん、施術はしっかり行うが、その前後の会話などがゆっくり行えなかった。

そして、オープンスペースのために、施術中のお喋りはタブーとされた。もちろん、お客様のイビキも・・・。お客様のリラックススタイルは、人それぞれである。眠りたい方、お話しされたい方、読書されたい方、思う存分イビキをかきたい方・・・。そういう全てを叶えられるのは、やっぱり、完全個室制でなければ無理だと感じた。隣にお客様がいらっしゃるようなオープンスペースでは、どうしたって制限される。

 

 下北沢店は外階段の2階席だったので、2階席にお客様をご案内すると、時々、お客様と自分の二人だけになるコトもあった。そんなときの、周りを一切気にせず行う、お喋りしながらの施術は、本当に楽しかった。私自身も、のびのびと接客出来た。

 

 「お客様とお喋りしながらでも出来るような空間で、リフレするのが理想だな。」なんて、よく妄想していた。そして、何よりも、もっとゆっくりお客様と向き合いたい、と思った。

でもそれは、今現在働くサロンで叶えるのは、到底無理な話であった。方向性の違い、である。

(過去日記「クローバーが完全個室制の理由」参照)

 

 そして、何よりも異なっていたのは、会社が求めるキャラクターと自分のキャラクターである。

 

 会社からは、よく「優雅に振舞って。」と注文を付けられた。『優雅』ですか・・・。時には、「白鳥のように、優雅に振舞って。」と言われるコトも。どう見たって、わたくし、白鳥と言うよりは、手乗り文鳥ですが!?

Img53_05_11_19_6_1  

 

 エレガント・レディとは対極にいる庶民派の私には、自分とは真逆のキャラクターを求められるコトが、段々、苦痛に感じるようになってきていた。もちろん、文鳥は白鳥になれる訳でもないので、文鳥のままでいたけれども。

 

 何よりも苦痛だったのは、制服である。普段はカジュアル派の私には、客室乗務員をイメージした、白シャツに黒パンツ、そして首にはスカーフというエレガントないでたちが、どうにも苦痛で仕方なかった。そんな格好、今まで一度たりともしたコトないし!

会社の正装は、↑の制服に、黒ジャケット着用であった。大体、私はビックリする程、“黒”が似合わない。私は、普段着ないモノにお金を出したくない!と言う、何とも貧乏性な理由で、黒ジャケットを持っていなかった。なので、着用しなければならないときは、サロンの同期から貸してもらっていた。そして、時々着用する黒ジャケットがビックリするくらい似合わないので、スタッフからよく失笑されていた。それくらい、全然似合わないのである。

 

 特に、自分が大好きな、文化の発信の街であり、オシャレな人たちが集まる下北沢という土地で、エレガント・レディの姿で、自分が似合わない色を身にまとい、一日を過ごすというコトは、私にとっては本当に苦痛以外の何物でもなかった。

今思えば、それが一番のストレスの元凶だったかも。とにかく、制服がイヤでイヤでどうしようもなかった。

もちろん、制服に憧れてサロン勤務したい、という方もいらっしゃる。だから、コレも方向性の違い、大いなる違い、なのである。

 

 方向性の違いを認識し、何となく、自分が進みたい方向が見えてきた頃、コレ以上、サロン勤務を続けていくコトが難しくなってしまうような事態が、私の身に起こるのであった。

 

 →次回へ続く。

 

 ♪本日のBGM・・・ACIDMAN「リピート」

 

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