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2006年12月20日 (水)

ファースト・プライオリティ。

 私は、山本文緒さんの文章が大好きです。

文緒さんとの出会いは、ちょうど2年前の冬(ファン歴としては、まだ浅いのです)。

その頃の私は、とにかく、「読書が趣味です!」と言うことを公言したいばっかりに、たくさんの本を読み漁っていました。そんな私がいつもお世話になっていた『ブックオフ』が、最初の出会いの場所です。

 (過去日記「私が好きなこと ~読書~」 参照)

 

 正統派の恋愛小説は読まない派の私(ひねくれ者!?)としては、向田邦子さん的な“家族”をモチーフとした、ちょっと胸をすくような小説が好みで、その日も「あ」行の作家さんの棚から順番に、くまなく物色していました。

そして、「や」の行で、男性なのか女性なのか一見わかりにくい、とても中性的な作家さんの名前に目が留まりました。それが、山本文緒さん。以前から「やまもとふみお」という音は耳にしていたのですが、このとき初めて文緒さんの作品を手に取ったのです。

 

 その手に取った作品は「群青の夜の羽毛布」。

複雑に絡み合った家族関係をモチーフとした、長編小説。文緒さんの作品の中でも、群を抜くような「女って、怖い!」と改めて思わされる恐ろしさ・・・。同じく文緒さんファンの親しい友人からも「最初に随分とへヴィーなの選んじゃったね!?」と言われたくらい。

でも、それが私には逆によかったようで、文緒ワールドに一気に引き込まれてしまい、一気読みしてしまいました。そう、文緒さんの作品て、一気読みしてしまうオモシロさがあるんです!

そして何よりも、ひねくれ者の私には、ひねりの効いた文緒さんの文章が、見事にピッタリとハマッタのです。

もしかすると、最初に手に取っていた小説が「ブルーもしくはブルー」だったら、こんなにのめり込んでいなかったかも・・・!?(ゴメンなさい!!)

ちなみに、一番好きな文緒作品は「パイナップルの彼方」です。

 

 文緒さんから紡ぎ出される言葉は、とてもリアリティがあって、それでいて、真正面から痛い所を突いてくるような潔さもあります。そして、読み終えた後は、胸の中にじんわり温かいモノが残るんです。

 

 そんな文緒作品の中で、先日、改めて「ファースト・プライオリティ」を読み返しました。

プライオリティとは、『優先事項』という意味だそうです。すなわち、「ファースト・プライオリティ」とは、『最優先事項』という意味。

この小説は31個の短編で成り立っていて、31歳の女性をモチーフとした、それぞれ31通りの『最優先事項』について描かれています。

 

 私がこの小説を読んだのは、同じく2年前の29歳の冬。その当時の私は、もちろん31歳にはなっていなかったモノですから、『31歳の最優先事項』という内容にあまりピンと来ていなかったように思います。31歳の女性ってこんな感じなのかなぁ、なんて漠然と思うくらいで。

で、それ以降、一度も読み返すコトがなかったのですが、31歳も残す所後3ヶ月になった先日、導かれるかのように、突如読み返した訳です。

 

 この小説に関しては賛否両論分かれる所があるのですが、改めて読み返してみて、私的にはすごくヨカッタです!このタイミングで読めて、ホントにヨカッタ。

 

 「三十一歳」という短編の文中で、女性の31歳という年齢について、「三十出たくらいの女っていいじゃないか。そろそろ迷いが吹っ切れて、腹がくくれてて、でもやり直しもスタートもできる歳だろ。」と表現されています。

果たして、自分がそうなのかどうかは?ですが、確かに、31歳っていろんな意味でビミョーなお年頃だったりすると思うんです。

 

 女性は特に、30歳という年齢を一区切りにする傾向があると思います。

かくいう私も、20代の前半では、30歳までには結婚したい!と考えたりしてましたし、それがどうにも無理っぽいコトに薄々感付いてきた(苦笑)20代後半では、30歳までには何とか自分の足で自分の人生をしっかり歩きたい!と30歳を一区切りにして考えるようになりました。

とにかく、30歳に向かって、20代は必死で、且つ全力疾走だったのです。

そんな感じで、“30歳”を迎えるという現実に対して、かなり力が入っていて、ちょっぴりビビッたりしていた私ですが、まぁ、でも、実際に30歳を迎えてみると、今までとなんら変わりないという事実が目の前にあったりしました。なぁんだ、30歳になったからって、何にも変わらないじゃん!的な。

 

 そんな気持ちで30歳を一年やり過ごし、31歳になった訳ですが、あの20代のときの肩に力が入って、ダッシュしていた自分よりも、少しだけ周りをゆっくり眺めるられるような歩幅になり、少しだけ柔軟さも出てきたような気もします。

ですが・・・、以前にも増して、「これだけは譲れない!」というモノも強くなった気もしてます。それが所謂、『31歳の最優先事項』になるんでしょうね。

 

 だから、全体を通して、文緒さんの文章にすごく共感出来ました。

 

 特に、「庭」という短編小説はグッときました。グッとき過ぎて、電車の中で号泣です・・・。

このお話は、突然、母に先立たれた父親と娘がモチーフになり、その関係性が徐々に変わっていく様などが描かれているのですが、自分に重ね合わせて読み進めていったら、もう、涙が止まらなくなりました。そして、最後はあったか~い気持ちになりました。

 

 この『31歳の最優先事項』というテーマですが、この小説を読み返す前の私は、自分にとって、今何が大切なのか、重要なのか、何を望んでいるのか、という優先事項を決められずにいました。とにかく、頭の中がグッチャグチャだったんです。

 

 そんなとき、以前一緒に働いていた元同僚と会う機会があり、その自分の胸の内を話してみたら、

「ちゃんと優先順位を決めて、それから行動した方がよいよ。今のあどちゃんは、全てを一緒に同時進行させようとしている。それじゃ、一番望んでいるコトが叶いにくくなるよ。」

と指摘されたんです。

確かに、そういう欲張りな所があったので、ちゃんと正面切って指摘してくれた元同僚の一言で、目が覚めました。

 

 「自分が今、一番何を望んでいるのか?」

元同僚と再会したコトで、改めてじっくり考え直すコトが出来て、グッチャグチャだった頭の整理が出来たのです。感謝☆

 

 そして、少し日が経ってからの「ファースト・プライオリティ=31歳の31通りの最優先事項」との再会。う~ん、なんだか感慨深いモノがありました。

 

 この小説の最後、31個目のファースト・プライオリティに当たる短編「小説」は、きっと文緒さん自身の私小説なのだと思います。文緒さんの31歳のときに感じた思い、そのままがありありと描かれています。

文緒さんの生き方は、なんとなく自分と重なるような部分もあったりで、文緒さんから放たれる言葉一つ一つに、すごく共感し、そして励まされました。

 

 31歳というこのタイミングで、「ファースト・プライオリティ」を改めて読み返すコトが出来たコトを、私は幸せに思います。

 

 文緒さんは、今は、以前のような執筆活動をされていないのですが、また胸のすくような文緒ワールドと出会えるコトを、私は心待ちにしています。

ホントに、文緒さんの文章はイイですよ。

 

 ♪本日のBGM・・・キリンジ「Love is on line」(アルバム「DODECAGON」より)

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コメント

メリークリスマス☆
クリスマスってなぁに?
それは女4人でケーキを食べながらM-1グランプリをみることよ。のジーンです。
山本文緒さん気になりました。
女性作家は田辺聖子とか柳美里、あたりしか読まないので
おすすめしてもらうと助かります。
柳美里の蝶の~思い出せないけど女の怖さビンビンで
読んでると武者震いを起こします。それでいて艶かしく清清しいん
だから困ったもんです。

宮部みゆきは読んでてクドイ!と言いながら嫌々読み終える
と言ったカンジなので。

本からもらえる知識や想像力はとても貴重なものです。
あんなに価値のあるものを1コイン程度で売ってくれるなんて!と
いつも感謝しています。

投稿: ジーン | 2006年12月24日 (日) 23時48分

>ジーンさん
メリークリスマス☆
クリスマスってなぁに?
今宵もいつもと同じような夜が過ぎて行こうとしてますが、何か?のあどです。

ジーンさんは、柳美里さんお好きなんですね。
私も好きで、と言うか、エッセイが好きで、何冊か持ってます。
あ、「命」シリーズも含め。
柳さんは、そりゃあ、怖い!の代表ですよね。
柳さんのエッセイって、結構エグイコトが淡々と綴られてる感じだと思うのですが、そういう文章がわりかし好きなんです。
文緒さんも淡々派なので、ジーンさんも好みかも。
でも、若干当たり外れもあるので、一応それは伝えておきますね。

 >あんなに価値のあるものを1コイン程度で売ってくれるなんて!
ホントですよね!
ブックオフなら、105円(税込)ですからね。
自分で映像を描いていく作業って、ホント楽しいですよね。
よかったら、文緒さん、読んでみて下さいね。

投稿: あど | 2006年12月25日 (月) 21時14分

山本文緒さん、すっごく興味を持ちました。
向田さんがお好きな方が押すのであれば、
間違いない!
私も読んでみます!!

あどさんは、私の世界を広げてくれる存在のような気がします。

フェイス・ヒーリングのお話を書いて下さってありがとう~~~感謝☆

投稿: るか | 2006年12月26日 (火) 17時40分

>るかさん
こんばんは☆
コメントありがとうございます♪
そして、ようこそ~!

 >向田さんがお好きな方が押すのであれば、
ってコトは、もしや、るかさんも向田さんファンですか?
向田さんは、女性としてもステキな方ですよねぇ~!
文緒さんは、結構毒々しいんですよ。
でも、ソコが好きだったりします。
まずは、「パイナップルの彼方」辺りを読んで頂くと、文緒ワールドを堪能して頂けるんじゃないかと思いますよ。

 >あどさんは、私の世界を広げてくれる存在のような気がします。
エェッ!!!!!
ソレはコチラの台詞ですよ!
恐縮ですぅ~。
他人曰く、相当マニアックな世界観のようですけど(苦笑)、でも、そんな風に思って頂けて、ウレシイです♪
コチラこそ、今後ともヨロシクお願い致します☆

投稿: あど | 2006年12月26日 (火) 22時28分

おそくなりましたが、あけましておめでとうございます!!
覚えてますか? 以前潮音ちゃんを教えて頂いた、田中"あるよ!"要次ファンのカトウです♪
 

先日こちらを拝見しましたときに「おお、よさそうな本を紹介してる!」と思い、「ファースト・プライオリティ」をさっそく図書館で借りてみました。私もちょうど31歳。わくわくしながら読みすすめましたよ♪

・・・そして、私も同じく「庭」で号泣してしまいました。やばいっすよ、これ。私もアドさんと同じく、自分を重ね合わせてしまいましたよ。お父さんがうちの父と同じしゃべり方だし。・゚・(ノ∀`)・゚・。!!

読み終わってもなかなか涙が止まらず、仕事から帰ってきた彼を驚かせてしまいました・・・(/ω\)
 

なんというか、ほんとに、この本をこの時期に薦めてくださってありがとうございました!忘れられない本になりましたよ。
そして、アドさんに出会えたことを心から感謝♪
今年もご活躍を応援してます。ともに31歳のこの年をがんばって生き抜きましょう!!

投稿: カトウ | 2007年1月 9日 (火) 15時48分

>カトウさん
こんばんは☆
そして、明けましておめでとうございます!

カトウさん、もちろん覚えていますよ!!
潮音ちゃんやら、MJやら、カマオカ刑事やら(笑)
カトウさんのコトは「感性が似てる!」と勝手に感じる、貴重な存在でありますから!
お元気そうで、何よりです♪

「ファースト・プライオリティ」読んで下さったのですね。
ウレシイです♪
「庭」は、ホントにグッときますよねぇ・・・。
 >読み終わってもなかなか涙が止まらず
そう、そうなんです!
私も満員電車の中で、困った感じになりました(苦笑)
そして、最後の「小説」の下りに、またグッときて、一歩踏み出す勇気をもらったような気がしました。

私もカトウさんと同じように、このタイミングで読むコトが出来たのは、本当によかったと思ってます。
私の方こそ、心より感謝です!
自分と同じ気持ちで読み進めて下さった、同じ31歳のカトウさんのコメントに、すごく励まされました!!

 >ともに31歳のこの年をがんばって生き抜きましょう!!
そうですね!
楽しみながら、程よく、頑張っていきましょうね!!
カトウさんにとって、素晴らしい一年となりますように☆
ありがとうございます!!

投稿: あど | 2007年1月 9日 (火) 23時50分

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